風が吹くとき -When The Wind Blows-
- 作者: レイモンドブリッグズ,Raymond Briggs,さくまゆみこ
- 出版社/メーカー: あすなろ書房
- 発売日: 1998/09/01
- メディア: 大型本
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怖い話というものは、大概がオカルトじみていて、非現実的で、身の回りで起こりうるものと認識できないものが多い。が、これは違った。もしかしたら、僕が、僕の家族が、友達が、好きな子が、先生が、みんなが明日にでも巻き込まれるかもしれない、そんなリアルの恐怖だった。
ちゃんと理解できる年になったら、子供に読ませてみようと思う。
以下、あらすじ。結末注意
ただただ毎日を平和に生きてきた老夫婦。しかし、世界はどうやら戦争をしているらしい。有事に備えて政府の用意したマニュアルを読みながら、彼らはそれでも、どこか楽天的に、最悪の事態だけはきっとないだろうと思いながらすごす。ところがそこで、けたたましくラジオが鳴る。「あと3分後、核ミサイルが到来します!」
間一髪シェルターへ隠れる二人。
突然の風
鳴らないラジオ。それでも、政府はきっと助けてくれる。信じながら明日を待つ二人。室内なら平気だろうと彼らはシェルターを出る。しかし家は瓦礫と化している。周囲で人が焼けているような、牛乳瓶が溶けているような、そんな状況で、彼らは楽天的に日常を過ごす。徐々に体に起こる異変。放射線に蝕まれていく体。それでも、ぎりぎりのところで励ましあい、ポジティブシンキングで二人は待ち続ける、祈りながら。決して彼らには助けは来ない。信じようとも。明日は来ない。最期までポジティブに信じながら彼らは死んでいく。そのポジティブさが恐怖を増幅しているのかもしれない。