分数の割り算を考える
基本は割り算は掛け算の逆演算だからという理由から「割る数をひっくり返してかける」という機械的な演算で解決なんだが、その「小学生がわかりやすい」理屈となると、諸説あって面白い。で、各所で見聞きしたいろんな説明をまとめ。
めずらしくTeX記法とか使っちゃう!
例題:
何でこんな例題にしたかといえば、なんとなく。
いくつ入るのか派(包含除の拡張派)
さてと。まず、にがいくつ入るか、という概念を考えていくわけだけれども、話をややこしくしているはぶっちゃけ面倒なのでさしあたって便利な1にしておく。で、1にいくつに入るか考えて、あとで1をに置き換えようぜということにする。
・・・(1)
がいくつ入るか、ということを考える。
そもそもは、9分割したうちの5個分ってことだ。つまり、が5個分。なので、が5個入るところにが1個入るというわけだ。ってことは、これを使えば、が何個入るかを考えていく方向に仕向け、それを5で割ってしまえばがいくつ入るのかわかる寸法になる。だから、まず(1)式を次のように考えてみれば?という話になる。
・・・(2)
ここで、1の中にがいくつあるのかと聞かれれば、すぐに9個と答えるだろう。は1を9等分したうちのひとつだからだ。1にしてよかったなあ。
これはつまり、
・・・(3)
という式を言葉で表したものになる。
だから、(3)を(2)に当てはめると、
答えを割る数と見比べると、うまいこと分子と分母が入れ替わっているわけだ。
なぜ5が分母に来るかと聞かれれば、とりあえず1にがいくつ入るかという問題に摩り替えるために5で割っているから。そして、なぜ9が分子に来るかと聞かれれば、1にが9個入っているから。まあ、結果として分子と分母は入れ替わった。
もともとの問題はだったはずなので帳尻あわせ。
どうしてもケーキ派(等分除の拡張派)
まずは一個のケーキを一人当たり個に分けるという概念をまず考える。
と5に分けると・・・
の意味するところは「1ホールのケーキを9つに等しく切る」だから、分けられるものはケーキ1ホールからケーキ9切れになる。つまり、分けられるケーキのきれっぱしの数は一気に9倍になる。で、分子の5は、そのうち5切れずつとっていくという意味だから、5で割るのには異論はなかろう。
ってえことは・・・?
つまり、
すればいいってことか。ふむふむ。・・・あ、結果としてひっくり返してかけてる。
分けられるものが1ホールから9切れになる、というところが×9になるというあたりの説明は興味深い。
で、当初の問題に戻ると、もともとのケーキは実は1ホールではなく、ホールになってしまっているので、結果として一人分は
めんどくさくね?そのまま分子と分母で割り算するよ派
掛け算も分子同士、分母同士かけれるんだろ?じゃあさ、分子同士と分母同士で割っちゃおうぜ。というアイデアに至るおれかっこいい!と勇んで計算を始める。
うわ、割りきれない。手詰まり。おれかっこ悪いorz
・・・というわけではない。分子と分母に同じ数かけても分数は変わらないってことを使って、割り切れるようにしちゃえばいいんだぜ。おれかっこいい!
分子は5で、分母は9でわるのだから、とりあえず5と9をの分子分母にかけておけば5でも9でも割り切れるんだぜ。
やだ、なにこれ、というような変な式に見えるだろうが我慢する。我慢して割れるとこ割る。
お?
見ろ!ひっくり返してかけてるじゃないか!という話。
ちなみに、分子分母それぞれの割り算が割り切れる場合は、
と、言う感じになる。これは、ひっくり返してかけて約分する手順と変わらない。つまり、分数の割り算はひっくり返してかけて約分という手順で解けるという直感的な理解につながりやすい気がする。
さてと
まあ、他にも色んな説明が散見されるけれども、総じてこの説明で一発理解できる小学生はあんまりいないだろうと予測される。個人的には無理やりこの辺を詰め込む前にまず覚えさせておいて、そこからいろんな説を考えださせるというのがおもしろいだろうと思う。
*1:ここがちょっと怪しい。分数の割り算教えてる過程で分数の割り算が出てきてしまうのは循環定義っぽいし、同じものどうしで割っているから1、というのはなんとなく直感的にわかってくれ、的な強引さを感じるが。